Kota's Blog

ディストピア系の小説

2025-03-05 Memoir

最近学校の図書館で「オリクスとクレイク」を取り寄せて読み始めた.Perplexityに自分の好みの小説を列挙しておすすめを聞いたらこれを勧めてきたわけだが,Amazonで調べると新品は売り切れていて中古の値段がなんと10万円.メルカリでも3-5万円で取引されていて諦めかけていたが,もしやうちの大学ならあるんじゃないかと思って検索したところヒットして取り寄せに至った.

高校生の時にカズオイシグロの「私を離さないで」を読んで以降,ディストピア系の小説にハマってかれこれ4年ほどありとあらゆる作品を読み漁っている.代表的なところでいうと「華氏451度」みたいな闘争色の強いやつが好きだけど,先に挙げた「私を離さないで」や同じ著者の「クララとお日さま」といった,ディストピアな世界観の中で淡々と物事が進んでいくタイプの物語も気に入っている.

ソ連風刺系

ディストピア系の小説は大体いくつかのタイプに分かれていて,まず主流なのが冷戦時代のソ連風刺タイプ.「1984」がその最たる例だが,「すばらしい新世界」(Brave New Worldと書いた方が伝わるかもしれない)もそうだし,「動物農場」も主軸は共産主義批判である.

またザミャーチンの「われら」も「1984」の30年前に書かれた共産主義風刺の先駆けである.「われら」については,ロシア産の作品なので1920年代に書かれたにも関わらず出版は1988年であり,その知識も持って読むと歴史の味がしてとても楽しい.またディストピアという枠組みで読んでいる人は少ない気もするが,「肩をすくめるアトラス」もれっきとした共産主義風刺のディストピア小説である.

このタイプの一番のお気に入りはアーサーケストラーの「真昼の暗黒」である.ストーリーとしては「1984」などに近い,クーデターが起きた共産主義国家で牢獄に入れられた古参党員の話で,牢獄の中でのストーリーとその回想という形で物語が進んでいく.語り口やストーリー構成の成せる技かもしれないが,読んでいて全く飽きず,しかも終わり方もかなりかっこいい感じで,一日であっという間に読み終えてしまった.

SF系

次に多いのがSF系である.そもそもSFとディストピアの区別というのもあやふやなのでSF系のディストピアとも言えるしディストピア系のSFとも言えるわけだが,ともかく個人的には全体として暗い雰囲気が漂っていればディストピアということにする.

SF系だと「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」(映画はブレードランナー)や「クララとお日さま」が有名な例だと思う.この類の作品は著者がディストピアというよりもSFの方向を意識して書いているケースが多く,自分にあまり刺さらない作品も多いのであまり深掘ってはいない.ただ「クララとお日さま」は例外で,カズオイシグロ本人がSFであることを意識して書いているとは全く思えないので,そういう意味でも好きな作品である.

現実世界系

最後のタイプは現代もしくは過去の現実世界で起こりうるタイプのストーリーである.代表的な例だと「蟹工船」や「23分間の奇跡」,「蝿の王」や「時計じかけのオレンジ」などが挙げられる.個人的には「蟹工船」の救いようのなさがとても好きで,小林多喜二の人生も含めて読むとより救いようのなさが深まる.この本を期に小林多喜二の他の作品をはじめとしたプロレタリア文学にも手を出したので,青空文庫には感謝である.

カフカの「審判」も一応このタイプに入ると思うが,そもそも本自体が未完だったのと,ストーリーが間延びしていて正直読むのがしんどい時間があったのであまり気に入っていない.

おわりに

借りてみて分かったが「オリクスとクレイク」は結構分厚い.まだ50ページくらいしか読んでいないけどこれは返却期限に間に合うんだろうか..